社会福祉法人 溢愛館

社会の変化に合わせて施設のカタチも変化。
地元に開きつつ、子供たちや職員にも優しい施設へ

  • モチベーション向上
  • スペース有効活用
  • ブランディング
  • 新たな取り組みのためのスペース整備

社会福祉法人 溢愛館

Point

  • 児童養護施設のあり方が変化、地域に開かれた施設へ
  • 子供たちにとっても、職員にとっても居心地の良い職住環境
  • ちょうどいい改修を実現するための、押しつけのない提案とコミュニケーション

オフィスの課題と解決

Before

従来の児童養護施設は、そこで生活する子供たちを養護することが前提の施設。
2016年の児童福祉法の改正による変化に合わせた整備が必要だった

After

カウンセリングルームを、あえて本館から離れた場所に設置することで、地元に開かれた施設へ

社会福祉法人 溢愛館は、1954年から愛知県犬山市で児童養護施設を運営している。

児童養護施設とは、予期できない災害や事故、親の離婚や病気、また不適切な養育など様々な理由で環境上養護を要する子供たちを養護し、あわせてその自立を支援することを目的とした施設。子供たちはそこで共同生活をしながら学校や幼稚園などに通う。

溢愛館では、子供たちができる限り暖かい雰囲気の中で安定した生活を送ることができるよう、指導員、保育士、臨床心理士等の専門職をはじめ、事務員、栄養士、調理員、そして運営管理者である施設長など、住み込みの職員を含む29名が運営に関わっている。

2016年の児童福祉法の改正により、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合は、「家庭における養育環境と同様の養育環境」において養育することが推進されるようになった。養子縁組による家庭、里親家庭、ファミリーホームをはじめ、施設も小規模で家庭に近い環境を求められるようになり、児童養護施設に求められる役割も変化してきた。ニーズの多様化に応じて、カウンセリングや養育相談など地域に開かれたサービスにしていきたいという思いがある一方で、従来は施設で生活している子供たちを主な対象にしていたために、カウンセリングルームをはじめ各種施設は生活空間に隣接しており、居住を前提とした施設にカウンセリングだけのために来訪者が訪れるのは、居住者にとっても来訪者にとっても、居心地がよくない状況があった。

3年ほど前に手に入れた新オフィスは、子供たちの生活スペースからは徒歩数分離れた距離。そこにカウンセリングルームを作ることにした。敢えて本館から離れた場所に設置することで、施設外の子供たちがカウンセリングを受けやすくなり、施設内の子どもたちのケアと、施設外の子供たちや里親さんたちへのサービス提供の両立がしやすくなった。

Before

機能が集約された従来の施設は、コンパクトで効率的だったが、物理的にも心理的にも窮屈に。

After

本館から離れた場所にいくつかの機能を移すことで、スタッフも子供たちも気分転換できるようになった。

溢愛館の施設には、子供たちだけでなく、子供たちの健康面・心理面のサポートを行う複数の職員も居住し、家族同様の生活をしている。職員にとっては、施設は職場でもあり家でもあるが、施設スタッフが増えたこともあり執務スペースが手狭になっていた。

今回の改修では、本館の狭く奥まったスペースにあった役職者の執務室を離れの新オフィスの1階に移した。改修後は広く明るくなったので、ゆとりを持って働けるようになった。また、役職者と少し距離をとることにより、自律的な、働きやすい職場環境づくりも進められる。

新オフィス1階の役職員執務室。改修後は広くて明るい空間になった。壁の木部はDIYでの塗装を計画している。

また、新オフィスは既存の建物の外観をそのまま残してあり、本館のデザインを踏襲していない。施設内に居住する子供たちや職員にとっても、生活スペースから離れた場所であることに加え、異なるデザインとすることで、同じ施設内でありながら気分転換できる効果もあるようだ。

Before

手に入れた建物は、築年数も経っており、機能面の改修も必要だった。
大きなリフォームを行うのは初めてのことでもあり、
意を汲んでちょうどよいリフォームをしてくれる事業者を見つけるのに苦心していた。

After

オフィスバコに相談し、コミュニケーションしやすい、良い会社との縁を繋いでもらえた

コロナ禍で対面で業者さんを呼んでの打ち合わせが難しい状況だったため、Web検索にてオフィスバコを見つけた。デザイン性のあるオフィス空間を実現できる業者を仲介するサービスということで、新しい施工業者を依頼する時に実態のわからない不安を払しょくできるのではないか、と考えたという。

オフィスバコに紹介してもらった丸山建設からの提案は押しつけがましくなく、相談をしながら適度な改修が実現できたという。

例えば、新オフィスを入手した時から和式の狭く古いトイレは改修が必須だと感じていたが、別の事業者に相談した際には、窓をつぶすように提案されるなど大掛かりな工事になりそうだったという。今回の改装では、意を汲んでもらい、窓もそのままで、洋式で使える広さを確保することができたので満足しているそうだ。

築年数が経っている建物だったので、冬の寒さ、夏の暑さなども気になる状態だった。1、2階ともに出入り口のスチール扉から入った場所にスペースを作り、温熱環境をよくする提案を受けた。窓にはすべてインナーサッシを設置した。

トイレのBeforeAfter。少しスペースを広げて洋式トイレを設置。窓にはインナーサッシの取付も行った
出入り口に風除室を設けることで温熱環境を改善。入って左側はスタッフ用の内玄関

オフィスはこう変わった

  • 世の中の変化に応じて、施設内の整備が必要だと感じていた

    児童養護施設は、環境上養護を要する子供たちが入所し、暖かい雰囲気の中で安定した生活を送ることができるように支えていく施設だが、昨今では入所はせず里親さんのところで暮らす子供たちも増えている。

    溢愛館では臨床心理士によるカウンセリングを行っており、これまでは施設で生活している子たちだけを対象にしていた。「これからは施設外で暮らす子供たちのカウンセリングや、発達の相談など、地元にも貢献していきたいので、施設の生活スペースからは少し離れた場所にカウンセリングが行える場所を作りたかった」と理事の金井さんは言う。

  • 子供たちのこと、職員のこと、を考えたらこうなった

    3年ほど前に手に入れた建物は1、2階を別々に利用でき、どちらにも直接アプローチができるつくりになっていることから、2つの機能を本館から移転することにした。手狭になった職員室の一部を事務棟の1階に移すとともに、2階にはカウンセリングルームを設置した。

    本館から少し離れている場所なので、カウンセリングスペースでは施設で生活している子供たちも気持ちを切り替え、「なんでも話しやすい環境ができると良いな」と思っていた。

    新オフィスの2階は「色々な課題を抱えた子供たちと接する場となるので、できるだけ凹凸の少ない、安全に配慮した設計をしたかった」と金井さんは語る。

    丸山建設の提案で、床面はクッション性のあるコルクフロアを採用。コルクの優しい足触りが、子供たちの気持ちを和らげてくれるだろう。

    コルクフロアの床と、柔らかなツートンカラーの壁に囲まれたカウンセリングルーム。壁面には収納もたっぷりと設置。
  • 職員室については「オフィス利用をする役職者も高齢になってきているので、ゆったりと無理せず仕事ができる環境を作りたかった」。足を伸ばして座ったり横になれる奥行きのあるベンチの造作は金井さんからの希望で実現したという。

    一方で、役職者の執務スペースと距離をもつことで、一般の職員にとっては、本館が働きやすい環境になった。

  • 課題を解決し続けていく施設

    「家具を入れるなどして、これから自分たちで作り上げていくつもり」。今回の改修に不満な点はないが、「点数をつけるとすれば『いつも課題がある』という意味で85点くらいとしたい。」と金井さんは笑う。

    今回のリノベーションでは手をつけなかった新職員室の壁は、職員たちと一緒にDIYで塗装をすることも検討しているという。2階にはグランドピアノを入れる計画もある。

    愛着を持ち、使い方を工夫していくことで、溢愛館らしい優しいオフィスへと育っていくことだろう。

  • クライアント名

    社会福祉法人 溢愛館

  • 事業内容

    児童養護施設の運営

  • 社員数

    29名

  • 所在地

    愛知県犬山市大字富岡字片洞1073-97

  • 施工年月日

    2022年6月

  • 施工範囲

    新オフィスの内装

  • 施工期間

    1ヶ月

  • 手掛けた専門家

    丸山建設株式会社

  • 取材日

    2022年6月

  • 写真撮影

    森田真悠

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