株式会社河合電器製作所

中断しかけた改装プロジェクトから一転。
「一流」「上質」をコンセプトに、
新たな企業ブランドの発信へ

  • コミュニケーション活性化
  • ブランディング
  • ICT活用
  • フレキシビリティ

株式会社河合電器製作所

Point

  • 一度は停滞した改装プロジェクトの再スタート
  • 社長の想いを反映した空間から、新たな「河合ブランド」の発信を
  • さまざまな業務内容・働き方の従業員がコミュニケーションを取れるオフィスへ
  • 進行中に発生した新型コロナによる変化にも対応した「ニューノーマル」なオフィス

オフィスの課題と解決

Before

一度は停滞したリノベーションプロジェクトの再スタート。
これからの自社があるべき姿や発信したいイメージを新たなオフィスに投影したかった。

複数に分かれた拠点それぞれから担当者が選ばれスタートしたリノベーションプロジェクトだったが、当初の担当デザイナーとのコミュニケーションがうまくいかず一時は停滞。見かねた社長の助言を受け、改めて一からやり直すとともに、ただの改装におさまらない「空間づくり」を目指す方向へと舵を切った。

After

数多くいる専門家・業者から、何を基準に選べば良いのか判断がつかない中、ウェブで見つけたオフィスバコに問い合わせ。マッチングにとどまらず、最後までサポートしてくれるところが魅力的だった。

大掛かりなプロジェクトを遂行するためにはどんな専門家を選べばいいのか、そもそも自分たちのやろうとしていることに向いているのはどんな会社なのか、自分たちだけでは判断がつかず悩んでいた時に見つけたのがオフィスバコだったそう。担当となったオフィスバコの橋本は、プロジェクトメンバーからのヒアリングをもとに2社を提案。依頼先が決まった後もコミュニケーションに齟齬が出ないよう両社の間に入り、スムーズな進行を実現した。

プロジェクト終了後、当時を振り返りながら談笑するオフィスバコ橋本(写真左)とプロジェクトメンバーの方々

Before

当初は模様替え程度の改装予定からスタートしたプロジェクト。
新たな目標に向け仕切り直した後も、自分たちのやりたいことや具体的な新オフィスの形がなかなか見えてこなかった。

After

社長へのヒアリングから出てきたキーワードは、『一流であり本物』。
上質な素材・木材を使用した、使うほどに味わいが増す空間を目指すことに。

「もう一度やりたいことを整理しよう」と、社長に「これからのあるべき姿」や「新しいオフィス空間にどんなイメージを抱いているのか」をヒアリングすることで、明確なビジョンを形作ることにしたプロジェクトメンバー。そこで出てきたキーワードは「一流」「上質」だった。

「上質な素材・木材」「使うほどに味わいが増すこと」「流行よりも、シンプルで飽きのこないもの」といった希望を、設計の依頼先となった(株)スペースに伝え、何度も重ねた打ち合わせには常にオフィスバコも同席。

その結果できあがったオフィス空間は、シンプルながら柔らかなカラーリングと木目により、これからの河合電器製作所が発信していきたい想いを見事に具現化したものに。本社に併設されたカフェの家具も地元の飛騨家具で統一するなど、木へのこだわりも随所にみられる美しい空間となっている。

本社のカフェスペースでは、天然素材の空間で自由に仕事をしたり食事をとったりできる
本社にある会議室。左官による壁や一枚板の大テーブルが圧倒的なインパクトを与える

Before

広範囲にわたる業務内容とさまざまな雇用形態により、従業員同士のコミュニケーションが難しい環境。
全社員が会社のビジョンを共有できるような改善策を求めていた。

After

2拠点に分かれた事業所の距離を縮め、部署や年齢に関係なく自然と距離が近付くオフィスを目指したいとの希望をふまえ、「PARK(公園)」というコンセプトを設けることに。

日頃から社長が口にしている「オープンなコミュニケーションを」という言葉から、「PARK(公園)」という全体コンセプトを提案。社員同士が気軽に交流しやすいレイアウトにより、誰もが自由にコミュニケーションを取れる、開かれた空間をつくりあげた。

壁や空間の随所に目立つ曲線は、社長が「角が立つ」ことを好まないことから発想を得たそう。優しい色づかいと曲線は従業員の心を穏やかにする効果もあるようで、よりスムーズにコミュニケーションを図れるようになった。社員が本を持ち寄って作ったというライブラリースペースも、部署を超えた交流に一役買っている。

壁の角が丸みを帯びている。このように随所に曲線を取り入れた(東郷オフィス)
東郷オフィスのライブラリースペースは交流の場となっている

Before

プロジェクト進行中に直面した新型コロナウイルスのまん延。
オンラインでのミーティングや間引き出社にも対応できる、新たなオフィスの形を探す必要があった。

After

WEB会議用スペースやパーソナルロッカーを新設。
フリーアドレス制やリモートワークに適したレイアウト・設備をそなえたオフィスへ。

リノベーション前はひとつの場所に常駐しなくてはならない部署などもあったそうだが、新たなオフィスに変わったことで、場所に縛られることなく仕事ができる環境に。フリーアドレスについては当初戸惑いの声もあがったものの、導入のタイミングで環境を整えたことによりスムーズに浸透させることができた。

本社の大会議室に配置された大型ディスプレイなど、設備の一部はオフィスバコ橋本の提案によるもの。内装デザインのみならず、設備・家具やICTなども踏まえたソリューションを得られるのもオフィスバコを利用するメリットだ。

天白工場ではフリーアドレス制を取り入れ、「Studio#01」へと名称も変更した
本社の大会議室にある大型ディスプレイはケーブルレスでPCに接続でき、プレゼンやオンライン会議もしやすい

オフィスはこう変わった

  • 現場で働く社員本人を信じて任せたリノベーション

    一部改装レベルの小規模改装から始まった河合電器製作所のオフィスリノベーションは、その進行とともに大規模プロジェクトへと変容していった経緯がある。本社・工場・事務所と3箇所に分かれた拠点でさまざまな業務をあたる社員たちをひとつにするリノベーションプロジェクトを担当したのは、各部署から選ばれた4人の女性社員たち。

    社屋を美しく整えるだけではなく、空間そのもののリノベーションにより社員同士のコミュニケーションの形さえをも大きく変えたこのプロジェクト。どう進めたのかと社長である佐久真一さんに尋ねてみたところ、返ってきたのは「ただ社員を信頼して任せた」というシンプルな一言だった。

    「プロジェクト担当者となる社員を各部署から集めたのは、実際にその場所で働く人が担当することが、いちばん良い形につながると思ったから。社員本人たちが『ここで働きたい』と思う空間になれば良いと思いました」

  • 「人は変えられないけど、自分は変えられる」

    現場で働く社員本人が良いと思う形がベストである、という考えはリノベーションだけにとどまらない。「人事であっても、部署の責任者が一緒に働きたいと思う人を採用するのが良いと思う」と語る佐久社長がこの考えに至ったのは、自身の苦い経験からだった。

    歴史ある河合電器製作所の3代目として生まれた佐久社長が入社したのは2000年のこと。東京の電機メーカーで11年間働いたのちの入社だったが「入ったばかりの頃は本来の自分をさらけ出せず、現場とも衝突を繰り返すばかりの日々だった」と言う。

    「こうあるべき」という固定概念に縛られ、一時は体調を崩すほど追い詰められた佐久社長だったが、社員たちに自分の状況を伝えて助けを求めたことで状況が改善。この経験から「細かいことについて現場の方が良い判断をできるのは当然のこと、自分が正しいと思うことはおごり以外の何ものでもない」と考えるようになった。

    自身が植えつけていた「こうでなければならない」の呪縛から解放され、「自分自身を幸せな状態に変えることで、その幸せを周りに波及していきたい」と思えるようになったと言う佐久社長の思想は、「社員自身が働きたいと思う場所・環境作りを社員本人たちに任せる」という現在の社風にも反映されている。

  • 「人をみて決めなさい」と助言した専門家選び

    プロジェクト推進にあたり、社員からアドバイスを求められた際に佐久社長が伝えたのは、「どんな会社を選ぶべきかは人をみて決めなさい」ということ。業者も顧客と同じように「一緒にやりたい」と思う専門家を選ぶことが大切だと伝えたそう。

    それ以外に、リノベーションにあたって伝えたのは「本物志向」というキーワードだけ。仕上がりの希望やコンセプトを詳細に伝えることはしなかったのかと聞いてみたところ、「社長である自分のイメージだけを押し出してもどうにもならない。仮に私のイメージとはちょっと違った仕上がりになっていたとしてもそれも弊社の作品だし、社員本人たちが納得しているかどうかが重要です」との答えだった。「経営と同じで、最初から完璧じゃなくていい。悩みながら少しずつ進んでいくのが自分たちらしいように思います」

  • 人の流れの変化は意識改革につながる

    オフィスの変化は河合電器製作所の働き方を大きく変えた。ウォールナットで統一された家具、木張りの床や角のない柱が温かみを感じさせるスペースには、自然と人が集ってくるという。また、レイアウトの大幅変更とともに導入したフリーアドレス制により、これまで完全に分離していた営業と技術が入り混じって働くようになり、業務に対する相互理解も深まってきた。人の流れが変わることで、社員の意識も変わる。各自が新たな発想でもって仕事を進められるようになったことは、リノベーションの大きな成果と言えるだろう。

    「河合電器製作所は今まさに、社員がすべてを自分ごととして決めていく風土ができあがる過程の最中」だと話す佐久社長。「河合電器製作所というブランドを作りあげるのは社員の意識」というその言葉通り、オフィスリノベーションをきっかけに目に見える形として現れた社員ひとりひとりの意識が、今後さらなる化学変化やその先の進化へとつながっていく。

  • 会社名

    株式会社河合電器製作所

  • 事業内容

    1. 熱技術に関するコンサルティング
    2. 電気ヒーターの開発・設計・製造・販売

  • 社員数

    151名

  • 所在地

    愛知県名古屋市天白区中平1-803

  • 施工範囲

    本社、天白工場、名古屋営業所(東郷)

  • 手掛けた専門家

    株式会社スペース

  • 取材日

    2020年12月、2021年3月、6月、8月

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