ノウハウ

第18回小規模事業者持続化補助金(一般型)とオフィス改装計画

~オフィス改装活用で「働きやすさ」+「販路拡大」へ~

中小・小規模事業者の皆さま。

現在、2025年度(令和7年度)第18回公募となる「小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)」の申請受付が開始されています。経営基盤の強化や販路拡大・業務効率化に向けて、オフィスの改装・整備を活用するチャンスでもあります。

以下に概要・スケジュール・注意点・活用イメージを整理します。
(※本文中の数値・期限は公募要領等に基づくもので、今後変更される可能性がありますので申請時には必ず最新の公募要領をご確認ください。)

1.制度の概要

小規模事業者持続化補助金は、地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とし、小規模事業者の経営をサポートするために設けられた制度です。小規模事業者が「自ら策定した経営計画」に基づいて、販路開拓の取組や、販路開拓と合わせて行う業務効率化(または生産性向上)などの取組を実施する際に、その経費の一部を補助するものです。

対象となるのは、以下の通りです。

  • 対象となる事業者:常時使用する従業員数が、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)なら原則「5人以下」。宿泊業・娯楽業および製造業その他は「20人以下」など。
  • 補助対象経費:機械装置導入、広告・チラシ制作、ホームページ/ECサイト構築、展示会出展、借料・外注費などが含まれます。
  • 補助上限額:補助上限額・補助率の目安として、通常枠では「上限50万円、補助率2/3」が基本。さらに「インボイス特例」(最大50万円引き上げ)や「賃上げ特例」(最大200万円引き上げ)などを活用すれば、最大で250万円まで引き上げられる可能性もあります。

つまり、「小規模事業者が、自社の強みや課題を整理し、将来的な販路拡大・生産性向上につながる改善を行う」ことを支援する制度です。

2.第18回公募スケジュール

第18回の主なスケジュールは以下の通りです(通常枠・一般型の場合)。

項目日程
申請受付開始2025年10月3日(金)
事業支援計画書(様式4)発行申込の受付締切2025年11月18日(火)
電子申請受付締切2025年11月28日(金)17:00 
採択決定2026年3月目処
見積もり提出採択決定後
見積もり審査・交付決定採択発表・見積もり提出から概ね1〜2か月かかる場合もあり
補助事業実施(発注・支払)交付決定日から2027年2月26日(金)まで
実績報告書提出→審査→補助金交付

(注)スケジュールは変更になる可能性がありますので、最新の公募要領で確認ください

ポイント:

  • 申請受付開始から締切までが比較的短期間です。書類の準備・相談機関との打ち合わせを早めに進めることが重要です。
  • 「事業支援計画書(様式4)」の発行を受けるためには、申請前に所属の商工会・商工会議所との相談・手続きが必要であり、発行には時間がかかる可能性があります。(第18回公募では 2025年11月18日(火)まで)
  • 補助金は後払いです。つまり採択決定後に経費を支出し、その後実績報告・請求してから入金となるため、資金繰りの準備が必要です。

3.申請にあたっての注意点

以下、よくある落とし穴や留意点を挙げます。申請準備時にぜひご確認ください。

  • 書類提出=採択ではありません。不備・計画の甘さ・採算性の説明不足などにより不採択または補助額が減額される可能性があります。
  • 補助対象の経費支出は「交付決定」に開始されていなければ原則対象外です。交付決定前に契約・支出をしてしまったものは申請できない場合があります。
  • 申請にあたっては、「経営計画」(自社の現状・課題・将来方向)と「補助事業計画」(どのように販路開拓・生産性向上を図るか)を具体的に策定しておく必要があります。形式的な記載だけでは評価が下がる可能性があります。
  • 経費区分が明確でないもの、販路拡大・業務効率化との因果関係が明示されていないものは採択されにくい傾向にあります。例えば「オフィスを改装する」だけでなく、「オフィスを改装することで、新たな取引先を開拓する」という構成が求められます。

4.“オフィス改装”での活用/具体例

さて、「オフィス改装・整備」にこの補助金を活用する際のヒント・具体例をご紹介します。改装を通じて働きやすさ・ブランディング・販路拡大を狙うケースです。

① 受け入れ・応接エリアのリニューアル

例えば、来客用の応接スペースを整備し、オンライン商談・対面商談双方に対応できるレイアウトに改装。

  • 店舗・オフィスの第一印象を改善し、新規取引先からの信頼感を醸成。
  • Web会議・ハイブリッド商談用に壁面にディスプレイ・音響・照明を設置し、業務効率化を図る。
    → 上記の「業務効率化」&「販路拡大(=新規取引先獲得)」という観点と合致するため、補助対象経費として整理しやすい可能性があります。(ただし、パソコン・複合機・タブレット端末など汎用性が高く目的外使用になりえるものは対象外なので、対象経費に含められるかどうか注意が必要です)

② 社内ワークスペースのゾーニング変更・設備更新

少人数オフィスでも、動線の見直し、個別・チーム作業スペース区分の再構成、椅子・デスクを整えるなど、働きやすさ・生産性向上を目指した改装。

  • チームミーティングやブレインストーミングがしやすいスペースを作る。
  • 座席配置をフレキシブルに変えられるよう可動式家具を導入。
     → 「生産性向上」「業務効率化」として訴求できる可能性があります

③ OPENスペース・体験ブースの創設(販路開拓型)

業務内容によっては、顧客・来訪者が訪問可能な“体験型”スペースをオフィス内に設けることで、クライアントの訪問・商談機会を増やす。例えば、技術サービス/ソフトウェア会社等がオフィス内にデモ環境を設置してプレゼンできるスペースを改装するなど。

  • 来訪営業・提案営業を強化 → 販路拡大の取組として明示可能。
  • オフィスの改装を通じて顧客接点を整備。
    → 補助金申請時に「この改装によって○○社の商談機会が増え、売上▲%を見込む」というような数値目標を設定すると説得力が高まります。

対象となりうるケース

補助金の趣旨は「販路開拓や業務効率化のための取組支援」です。したがって、オフィス改装が「売上拡大」や「生産性向上」に明確に結びつく場合は対象にできる可能性があります。

具体例:

改装内容補助対象となりうる理由
来客対応スペース・商談室の新設顧客との商談機会の拡大(販路開拓)
ショールームや展示スペースの設置商品・サービスのPRによる販路拡大
執務スペースのレイアウト変更による動線改善生産性向上、業務効率化
テレワーク対応スペースの整備働き方改革・業務効率化
打合せブースやWeb会議ブースの新設顧客対応力の強化
バリアフリー化・省エネ化を伴う改装(来客や従業員の利便性向上)顧客サービスや業務効率の向上

対象外となるケース

次のような場合は、単なる内装リフォーム扱いとなり対象外になる可能性が高いです。

改装内容非対象となる理由
老朽化した壁紙や床の張替えのみ営業活動や効率化に直結しない
事業と関係のない居住スペースの改装補助対象外(事業関連経費でない)
単なる美観向上のためのリフォーム販路拡大や効率化の効果が認められない

5. 補助金活用のポイント(改装向け)

  • 改装にあたっては見積書・工事契約書・請求書・納品書をきちんと保管する。支出が補助対象経費になるのは、交付決定後に発注・支払いが行われたものであること。
  • 改装だけで申請するのではなく、「改装によって何をどう改善したか」、「その改善が販路拡大・業務効率化にどうつながるか」を明確にすることが重要です。
  • 改装経費が一定規模になると、設備投資・建築工事扱いになるため、補助対象とならないもの(例えば、単なる内装美装だけなど)かどうか、事前に相談しておくと安心です。
  • 補助率2/3(通常枠)ということで、残りの1/3を自己負担して実施する必要があります。改装工事を進めるにあたっては資金繰りも並行して検討ください。

6.なぜ今「オフィス改装+持続化補助金」なのか

  • コロナ禍やテレワーク普及、人材確保競争激化などを背景に、オフィス環境・働き方改革・ブランディング強化の必要性が高まっています。投資としてのオフィス改装は、補助金の目的にも叶っています。
  • 小規模事業者だからこそ、限られたリソースを有効活用し、環境を整えることで「魅力あるオフィス」、「業務効率の良いオフィス」を実現できれば、社内外ともに好印象で、ブランディング向上につながります。
  • 補助金を活用することで、資金的負担を抑えながら改装に踏み切ることが可能です。「今まで躊躇していた改装」を機に、販路開拓・生産性向上に向けた“きっかけ”と捉えることができます。
  • また、「経営計画・補助事業計画を策定する」機会になり、改装後の運用・成果を見据えた事業運営体制の振り返りにもつながります。

6.こんな会社・状況に特におすすめ

  • 従業員数が基準を満たし、オフィス環境を改善したい小規模事業者様
  • 来客機会が増えており、応接スペース・商談スペースを整えたい会社様
  • 社内ワークフローを見直して、ワークスペースのレイアウトを変えたい/チーム・個人作業の切り替えをしやすくしたい会社様
  • 新たな取引先の獲得・販路拡大を目指しており、そのための「オフィスを活用した提案営業体制を構築」したい会社様

7.進め方

  • まずは「自社は小規模事業者の定義を満たしているか」、「オフィス改装によってどのような効果を狙えるか」、「オフィス改装が補助対象になるか」を整理しましょう。
  • 経営計画・補助事業計画のアウトラインを早めに描き、所属の 商工会議所 または 商工会 に相談の上、「事業支援計画書」の発行を依頼します。時間的余裕をもって相談するようにしてください。
  • 改装に使う見積書や計画案(レイアウト提案、設備導入・家具購入・工事スケジュール等)を準備。申請の審査に備えて「改装による成果・数値目標」を明示すると良いでしょう。
  • 申請期限(2025年11月28日17:00)までに電子申請を完了させましょう。郵送は原則不可です。

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