インタビュー

「オフィスバコは最後までサポートしてくれるのが魅力」
中断しかけた改装プロジェクトが一転、コミュニケーションが活発化するオフィスに(河合電器製作所)

愛知県名古屋市の天白区と東郷町に2つの拠点を持つ株式会社河合電器製作所。本社・工場・事務所のリノベーションを一気に行い、風通しのよい会社にしていこうと、各拠点で働く女性4名によるプロジェクトチームが結成されました。どのようにして、新しいオフィス空間が出来上がっていったのか、メンバーの方々にお聞きしました。

(取材・文/岡安香織 写真/森田真悠)

まずは会社の事業を教えてもらえますか?

電気ヒーターの開発・製造・販売と、それに関わるご提案やコンサルティングを行っています。業務内容が広範囲であることから、社内には様々な部署があります。工場で作業する製造部、開発や設計を担当する技術部、それに営業部や総務部などが天白と東郷の2拠点に分かれて勤務しています。また正社員からパート社員まで、働き方も様々な中でのオフィス改装でした。

オフィス改装のきっかけは何ですか?

最初は関連会社の古くなっていた食堂と会議室をきれいにする、模様替え程度の改装から始まりました。その後は自社の改装も徐々に行う予定だったので、天白の本社と工場、東郷の事務所、それぞれの拠点から女性担当者が選ばれてプロジェクトが始まりました。女性の細やかな視点や感性を生かしてという社長の意向があったのだと思います。

しかし、最初に関連会社の改装をしてくれたデザイナーさんが遠方の方だったので、自社のプロジェクトへと移った時には案件が大きかったこともあってコミュニケーションがうまくいかなくなり、プロジェクトがなかなか進まない状況が続きました。

それを見かねた社長にどうしたいのかと聞かれ、デザイン会社を変更するのかやり方を変えるのか、プロジェクトを進める方法を私たちに委ねてくれました。そこで私たちは、どうせなら内装だけでなく空間そのものをリノベーションしたいと思うようになり、一からやり直そうと決心しました。当初は空間まで変える構想はありませんでしたが、先代の社長が建てたオフィスを改装する意味を考えた時に、今の社長の想いを反映した空間づくりからやりたいと思い、それが新たな河合ブランドとなって発信されるようにもしたいと考えました。

どのようにしてオフィスバコを知ったのですか?

大がかりなプロジェクトになるので、地元名古屋のしっかりとした会社さんとガッチリ組んでやらなければと思い、専門家探しが始まりました。基本的にはインターネットで調べるのですが、たくさんあり過ぎて自分たちではとても判断できませんでした。

どんな専門家がいいのか、私たちのやろうとしていることに向いているのはどんな会社なのか全く分からず、選びようがなくなっているところで、オフィスバコさんのサイトを見つけました。他にもマッチングサイトはありましたが、ここならマッチングだけでなく最後までサポートしてくれるところも魅力的でした。オフィスバコさんのオフィスが弊社の近くだと分かったので、早速、電話で問い合わせたのが始まりです。

専門家の選定はどのようにされたのでしょう?

オフィスバコ橋本:電話でのお問い合わせの時に、1年前にスタートしているプロジェクトがなかなか進まずに行き詰まっていたことや、思い切って会社さんを変えて一からやり直すことになったと聞いていたので、プロジェクトをしっかりと推し進めていける専門家が良いと思い、初回面談から株式会社スペースに来ていただきました。

オフィスバコ橋本

オフィスバコ橋本:顔合わせでは、(株)スペースさんは経験豊富でどっしりと構えた男性ばかり、一方で初めてのことばかりで緊張している女性プロジェクトメンバー。当然ながら圧倒されている感じを受けたので、(株)スペースさんには女性メンバーにも入ってもらえるようお願いしました。

どのような提案があったのですか?

もう1社、全く異なる雰囲気の会社も選定いただき、お会いしました。提案内容もアプローチの仕方もそれぞれでしたが、どちらも素敵ですぐには決められなかったほどです。

そのもう1社の方はとても具体的な提案だったのでイメージしやすく、雰囲気もまさに私たちが求めていたものでした。一方、(株)スペースさんからはまだ具体的な内容はなかったのですが、これからどんな提案が出てくるのかワクワクするようなプレゼンテーションでした。私たちが今は想像もしていないすごいことをやってくれそうな感じがして、それが何か分からない怖さがある反面、見てみたいという気持ちにさせてくれました。

すぐにはとても決められず、橋本さんにも相談に乗っていただいた結果、(株)スペースさんにかけてみようと思いました。社長は私たちの決定を尊重してくれて、「決めたなら責任を持ってやり遂げなさい」と言ってくれました。

実際にプロジェクトはどのように進められたのですか?

改めてプロジェクトを始動するにあたって、私たちなりにもう一度やりたいことを整理しようと、まずは社長にヒアリングすることにしました。これからの弊社はどうあるべきで、新しいオフィス空間にどんなイメージを抱いているのか。

そこで出てきたキーワードは「一流」であり「本物」でした。つまり、「上質な素材/木材が使われていること」「シンプルで長く使えること」「使うほどに味わいが増すこと」「流行よりも飽きのこないもの」だということでした。さらに、日頃から「オープンなコミュニケーションを」という社長の言葉から、社内で働くいろんな人たちが部署や年齢に関係なく自然にコミュニケーションがとれるようなオフィス環境が理想だと(株)スペースさんに伝えました。

そこで出てきたのは、「PARK(公園)」という全体コンセプトのもとでの空間づくりでした。そしてプロジェクトが始動すると、(株)スペースさんに女性のデザイナーさんが加わってくれました。橋本さんの要望を受けて社内で調整してくれていたようです。女性同士だと感覚的に分かり合えることも多く、打ち合わせの雰囲気も変わりました。

一方で、男性陣からは奇抜で面白い提案があり、私たちが何気なく言ったことにもすぐ反応して、意見もはっきりと言ってくださるので信頼できました。

橋本さんの目論見通り、(株)スペースさんにプロジェクトをぐいぐいと引っ張ってもらった感じです。そんな中、(株)スペースさんには直接言いづらいことを橋本さんが聞いてくれたり、こちらの思いを汲み取って反映してくれたりと、いろんな場面で橋本さんが中和してくださいました。

プロジェクトで難しかったことはありますか?

プロジェクトが進む中で新型コロナウイルスに直面したことが大きかったです。図面もだいぶ仕上がってきて、あと一歩という時でしたが、今となっては出来上がる前で良かったと思っています。

コロナ禍でZoomミーティングが増えたことで、ウェブ会議室を新たに設けたり、固定席からフリーアドレスに大幅変更し、それに伴って個人の荷物を入れるパーソナルロッカーを設置したりしました。

左:ウェブ会議用の個室スペース 右:フリーアドレスに対応したパーソナルロッカー

時には判断に迷ったり、(株)スペースさんの提案に「そういうものなのかな?」とちょっとした疑問を感じる場面もありましたが、そうした時に気軽に聞いたり相談できる橋本さんの存在が心強かったです。

私たちはプロではないので、専門家の意見をそのまま聞き入れる一方で、個人的な主観や趣向で判断してしまうこともあります。それを客観的な立場でサポートしてくれる橋本さんがいてくださったことで、多面的に検討できました。

橋本さんはとにかく対応が早いので、私たちの間では「とりあえず橋本さんに聞こうか」という感じになっていました。プロジェクトの間、多い時には週1回、少なくとも月に1回は会社に足を運んでいただいたように思います。電話連絡だけなら週に何度もあったかもしれません。きっちりとスケジュールを管理してもらえたことも助かりました。

オフィス改装後の、ほかの社員さんたちの反応は?

プロジェクトメンバーが女性ということもあり、オフィスではあまり使われない優しい色味が多用され、壁や空間の随所には角のない曲線を取り入れています。社長が「角が立つ」ことを好まないことから発想して、角が立たないよう丸みをつけましたが、社員の方たちからは空間全体が穏やかな雰囲気になったと言ってもらえました。プロジェクトを全て任せてくれた社長も喜んでくれているようでホッとしました。

壁の角が丸みを帯び、柔らかな印象を与えている

また当初はフリーアドレスに戸惑う声も上がっていたのですが、コロナ禍でリモートワークを経験したことで、皆さん違和感なく自然に受け入れてくれているようです。

フロアの一角にあるキッチンスペース。ここで団らんをしたり、仕事をしたりすることもできる

天白でも、製造部だから工場にいないといけないのではなく、どこででも仕事ができる環境になり、天白工場から「Studio#01」という名称に変えました。

フリーアドレスになり、工場とは思えない開放感を持つStudio#01(写真/神谷亮賢)

本社のカフェでは木にこだわって地元の飛騨家具で統一し、社員が気軽に交流しやすいレイアウトを意識しました。

東郷ではみんなが本を持ち寄って完成したライブラリースペースに、他部署の方たちが立ち寄ってくれるようになりました。

ライブラリースペースでは、靴を脱いでくつろぐことができる

新しくなったオフィスで、これまでになかった部署を越えた新たなコミュニケーションが生まれつつあります。

取材協力:株式会社河合電器製作所

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