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多様な働き方(ハイブリッドワーク・出社回帰など)への対応、脱炭素(GX)・省エネ推進、採用強化、生産性向上といった、直近の企業課題に合わせオフィスを改装する企業が増えてきています。オフィス改装やレイアウト変更の際にはそれなりの費用がかかってしまうものですが、同時にさまざまな補助金・助成金が利用できることはご存じでしょうか? 本記事ではオフィス改装時に利用できる補助金・助成金について解説します。
こんなオフィス改装なら、この制度をチェック!
「オフィスを改装するから」という理由だけで利用できる補助金・助成金は多くありません。一方で、改装によって何を実現したいのかによっては、利用できる制度があります。まずは、今回のオフィス改装の目的から、確認すべき制度を探してみましょう
| こんな改装・投資を考えている | まず確認したい制度 | 主なポイント |
|---|---|---|
| 小規模事業者が、来客スペースやショールームなどを整備して販路を広げたい | 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓や、それに伴う業務効率化につながる改装が対象になる場合があります |
| 新しい事業・サービスを始めるため、オフィスや施設を大きく改装・増床したい | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新市場への進出や新サービス提供など、新事業との関連性が重要です |
| 事業承継・M&Aをきっかけに、店舗・事務所を改装したり設備を更新したい | 事業承継・M&A補助金 | 承継に向けての生産性向上や経営基盤の強化、M&A後の統合などに伴う投資が対象になる場合があります |
| 残業削減や働き方改善のため、設備・機器やオフィス環境を整えたい | 働き方改革推進支援助成金 | 労働時間の削減や休暇取得促進など、成果目標との関連が必要です |
| 賃上げとあわせて、業務効率化・生産性向上のための設備を導入したい | 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金の引き上げと、生産性向上につながる設備投資を組み合わせる制度です |
| 喫煙室の設置・改修など、受動喫煙防止対策を行いたい | 受動喫煙防止対策助成金 | 対象となる事業者・施設や、喫煙室の構造などに要件があります |
※上記は代表的な制度の一例です。補助対象となる経費や申請要件は制度ごとに異なり、同じ「オフィス改装」でも工事内容や目的によって対象にならない場合があります。最新の公募要領・募集状況をご確認ください。
多くの制度では、交付決定前に契約・発注・工事を開始すると補助対象外になる場合があります。利用を検討する場合は、工事を始める前に必ず公募要領をご確認ください。
大切なのは
補助金・助成金を検討するときは、「壁や床をきれいにしたい」「レイアウトを変えたい」といった工事内容だけから制度を探すのではなく、その改装によって何を実現したいのかを整理することがポイントです。
たとえば同じレイアウト変更でも、
- 来客や商談を増やして販路を拡大する
- 新しいサービスを提供できるスペースをつくる
- 社員の移動や作業時間を減らして生産性を高める
など、目的によって検討する制度は変わります。
そのため、補助金・助成金の活用を考えている場合は、オフィスの設計や工事内容を固めてしまう前に、利用できる制度がないか確認しておくことをおすすめします。
オフィス改装時に補助金・助成金を活用する考え方
オフィス改装には補助金・助成金が利用可能ですが、実はオフィス改装そのものに対して申請できる助成金制度というものは、ほとんどありません。
ではどうやって補助金・助成金の申請を行えば良いのでしょうか。
そのポイントは、「オフィス改装によって発生する効果に対して提供される補助金・助成金」を利用することにあります。
背景には中小企業支援や雇用創出などの目的が
国や自治体が補助金・助成金制度を設ける目的として、中小企業向け支援や雇用促進が挙げられます。企業の生産性向上や事業拡大による雇用創出で地域活性化につなげたいという思いが背景にあるため、その意図を汲んだ改装工事を計画することで、補助金・助成金を受けることが可能となるのです。
設備投資による生産性向上やバリアフリー化による障がい者雇用の促進などもこれにあたります。 また、最近ではエコ対策や耐震対策など、環境対策が対象となる補助金もあります。照明のLED化や遮熱塗料の利用などを計画に織り込むことで、補助金・助成金の申請ができる場合もあるため、どのような対策が対象となるかを調べたうえで、改装計画を進めましょう。
補助金・助成金のメリット
補助金・助成金を受けるメリットは数多くあります。
第1に、補助金・助成金を活用することで、最終的な設備投資・改装費用の自己負担を抑えられることが大きなメリットです。ただし、多くの制度では事業者がいったん費用を支払い、その後に補助金・助成金が支給されるため、工事代金等の資金はあらかじめ準備しておく必要があります。
2つ目のメリットは、改装の目的や投資効果を明確にするきっかけになることです。補助金は「改装工事そのもの」ではなく「改装の目的」に対して支給されるため、申請準備のプロセスを通じて、自社の目指すべき方向性を整理し、言語化する必要があります。「なぜ改装するのか」「生産性がどう変わるのか」「採用や売上にどうつながるのか」を整理することになるため、単なる内装更新ではなく、経営課題からオフィスを考えるきっかけになります。
補助金・助成金申請のデメリット
このようにメリットの大きい補助金・助成金ですが、利用するうえで注意するべきことやデメリットもあります。
まず、申請には相応の手間がかかります。補助金・助成金ともに国や自治体が設けている制度ですので、申請にあたり、必要書類を数多く揃える必要があります。また、給付後には、定期的に成果報告の提出を求められることが一般的です。
必要書類の中には、「制度を利用して何をするのか、それに伴う計画はどのようになっているのか」を表すものや、会社の経営状況を表すものなど、専門家に依頼しなければ作成できない書類も含まれます。工数もそれなりに取られるため、申請に向け時間と体制をあらかじめ整えておかなくてはなりません。
申請すれば必ず受け取れるわけではないということも認識しておく必要があります。特に補助金の場合、条件を満たしていても審査段階で落とされてしまうケースもあるため、補助金ありきで計画を進めると、補助を受けられなかった時、資金不足に陥ってしまう可能性もあります。
予算消化などの理由で突然申請を締め切ることなども考えられますので、「100%受け取れる」と考えて計画を進めるのは危険です。
また、申請した事業を止める場合に、補助金の返金を求められるケースもあるため、対象期間と自社の事業計画を十分に吟味することも必要です。
補助金と助成金の違い
一般に「補助金」は予算や採択件数が決められ、審査によって採否が決まるものが多く、「助成金」は雇用・労働環境改善などを目的として、所定の要件を満たすことで受給できるものが多い、という違いがあります。ただし、制度ごとに要件・審査・併用可否は異なります。
オフィス改装時に申請できる補助金の例
オフィス移転や改装時に利用を検討できる補助金制度のうち、3つの例をご紹介します。
小規模事業者持続化補助金
販路開拓のための取組や、販路開拓等と合わせて行う業務効率化(生産性向上)を目的とした取り組みが対象ですが、オフィスの改装も「集客のための環境改善」や「業務効率化」として対象になるケースがあります(例:作業効率を上げるレイアウト変更、バリアフリー改装、来客用スペースの設置、オフィスの一部のショールーム機能をもたせる、など)。単なる内装の美装・原状回復・老朽化対応ではなく、販路開拓や生産性向上との関連性を説明できることが重要です。
小規模事業者持続化補助金を申請する場合には、商工会議所等の支援を受ける必要があります。
• 申請スケジュール:2026年度も複数回の公募が予定されています。2026年度2回目の公募となる第20回公募は、11月5日申請開始、12月15日締切予定です(詳細は全国商工会連合会・日本商工会議所の公式サイトでご確認ください)。
・補助額:補助率は2/3、通常枠で上限50万円ですが、インボイス特例・賃金引き上げ特例などの適用を受ければ、最大上限250万円に拡大します。
新事業進出・ものづくりサービス補助金
新事業進出補助金とものづくり補助金が統合され、2026年度より「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という新しい制度になりました。
新事業市進出枠は、中小企業が行う、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出をサポートするものです。「店舗・オフィスの移転・改装も、「新事業展開」や「業種転換」の一環であれば対象になる可能性があります(たとえば、新たなサービス提供に向けた施設改装や、機能拡張のためのオフィス増床など)。
・申請スケジュール:第一回公募の申請受付は2026年9月30日から10月30日18時まで(中小企業基盤整備機構の公式情報にて随時アップデートされますのでご確認ください)。
・中小企業で最大7,000万円(補助率1/2〜12/3)。賃上げ特例適用の場合は上限が9,000万円。従業員数に応じて上限が変動。
事業承継・M&A補助金
事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者等が、事業承継・M&Aに際して行う設備投資などに利用することも可能です。
事業承継促進枠では、親族内承継や従業員承継等を通じて現経営者から引継ぐ経営資源に対して、後継者の経営基盤強化の一環として行うオフィスや店舗・事務所の改装は対象になる可能性があります。ただし、単なる老朽化の修繕ではなく、生産性向上や新規事業などにつながる投資であることが求められます。
PMI促進枠では、M&A後の統合効果最大化のための設備への投資等が補助対象となる場合があります。
• 申請スケジュール:年に複数回公募されています。最新の公募状況は公式サイトをご確認ください。
・補助額:補助率は基本1/2(小規模事業者は2/3)、補助上限は800万円(賃上げ実施時は1,000万円)。
オフィス改装時に申請できる助成金の例
次に助成金について、利用できる制度を3つ紹介します。
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援するものです。
助成金の対象は単なる「きれいなオフィスへの改装」ではなく、労働時間の削減・業務効率化につながる設備投資です。その目的に適えば、労務管理機器・ソフトだけでなく、「労働能率の増進に資する設備・機器」の導入も対象になり得ます。
ただし、床・壁・天井を新しくするだけ、といった一般的な内装工事全体がそのまま対象になる制度ではありません。また、年休制度や時間外労働等について成果目標を設定する必要があります。
補助率は原則3/4、常時使用労働者30人以下など一定の場合は4/5です。
2026年度の交付申請期限は11月30日17時です(申請額が予算に達した場合、申請期日より前に申請を締め切る場合があります)
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
業務改善助成金
業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、かつ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。
助成対象は「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」です。例えば、労働時間短縮(勤務間インターバル導入など)に伴うオフィス環境整備・機器導入などが対象になる可能性があります。
助成額は最大600万円。助成率は3/4〜4/5 (事業所内最低賃金による)。
2026年度は9月1日から受付開始です。
受動喫煙防止対策助成金
オフィス改装時に社内禁煙を促す対策を計画することで、補助金を受けられます。一定の要件を満たす専用喫煙室、指定たばこ専用喫煙室の設置に必要な経費が助成金の対象となります。
助成額は最大100万円。助成率は1/2(主たる事業が飲食店の場合は2/3)。
申請期日は令和9年1月31日です。(申請額が予算に達した場合、申請期日より前に申請を締め切る場合があります)
補助金・助成金をうまく活用したオフィス改装を
上記で挙げたのはほんの一例に過ぎません。これら以外にも、期間限定のものや各自治体が独自に行っている補助金・助成金制度もさまざまありますので、ぜひ調べてみることをおすすめします。そして、実際に申請を検討するときには、補助金・助成金に詳しい専門家に相談すると良いと思います。
補助金・助成金は、「どんな改装をするか」が決まった後で探すよりも、「今回の改装で何を実現したいのか」を整理する段階から検討することが大切です。
オフィスバコでは、改装・移転の初期段階からご相談いただき、目的や予算を整理したうえで、必要に応じて補助金・助成金に詳しい専門家をご紹介することも可能です。




