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コロナ禍以降のニューノーマルな業務への対応や働き方変革にあわせ、普段利用しているオフィスを改装する企業が増えてきています。オフィス改装やレイアウト変更の際にはそれなりの費用がかかってしまうものですが、同時にさまざまな補助金・助成金が利用できることはご存じでしょうか? 本記事ではオフィス改装時に利用できる補助金・助成金について解説します。
オフィス改装時にもらえる補助金・助成金制度とは?
オフィス改装には補助金・助成金が利用可能ですが、実はオフィス改装そのものに対して申請できる助成金制度というものは、ほとんどありません。
ではどうやって補助金・助成金の申請を行えば良いのでしょうか。
そのポイントは、「オフィス改装によって発生する効果に対して提供される補助金・助成金」を利用することにあります。
背景には中小企業支援や雇用創出などの目的が
国や自治体が補助金・助成金制度を設ける目的として、中小企業向け支援や雇用促進が挙げられます。企業の生産性向上や事業拡大による雇用創出で地域活性化につなげたいという思いが背景にあるため、その意図を汲んだ改装工事を計画することで、補助金・助成金を受けることが可能となるのです。
設備投資による生産性向上やバリアフリー化による障がい者雇用の促進などもこれにあたります。 また、最近ではエコ対策や耐震対策など、環境対策が対象となる補助金もあります。照明のLED化や遮熱塗料の利用などを計画に織り込むことで、補助金・助成金の申請ができる場合もあるため、どのような対策が対象となるかを調べたうえで、改装計画を進めましょう。
補助金・助成金のメリット
補助金・助成金を受けるメリットは数多くあります。
第1に、初期投資を抑えられることが挙げられます。助成金を受けることで初期投資を抑え、低コストで改装できることは最大のメリットといえるでしょう。また、助成金を上積みすることで改装にかける費用総額が増えるため、より良い改装工事を計画できます。
2つめのメリットは、企業信頼度が高まる点です。補助金・助成金を受けるためには厳しい審査を通過しなくてはなりません。審査基準には労働環境や企業の経営状態なども含まれるため、補助金・助成金を受けられる企業であるということは、労働環境の良い企業であると言えるでしょう。
補助金・助成金申請のデメリット
このようにメリットの大きい補助金・助成金ですが、利用するうえで注意するべきことやデメリットもあります。
まず、申請には大変な手間がかかります。補助金・助成金ともに国や自治体が設けている制度ですので、申請にあたり、必要書類を数多く揃える必要があります。
必要書類の中には、「制度を利用して何をするのか、それに伴う計画はどのようになっているのか」を表すものや、会社の経営状況を表すものなど、専門家に依頼しなければ作成できない書類も含まれます。工数もそれなりに取られるため、申請に向け時間と体制をあらかじめ整えておかなくてはなりません。
申請すれば必ず受け取れるわけではないということも認識しておく必要があります。特に補助金の場合、条件を満たしていても審査段階で落とされてしまうケースもあるため、補助金ありきで計画を進めると、補助を受けられなかった時、資金不足に陥ってしまう可能性もあります。
予算が尽きたなどの理由で突然申請を締め切ることなども考えられますので、「100%受け取れる」と考えて計画を進めるのは危険です。
また、申請した事業を止める場合に、補助金の返金を求められるケースもあるため、対象期間と自社の事業計画を十分に吟味することも必要です。
補助金と助成金の違い
補助金と助成金はいずれも費用面での支援を受ける制度ですが、詳細は異なります。大きく異なるポイントは、申請手続きの難易度と支援金額の規模です。
まず大きな違いとして挙げられるのが、審査の有無についてです。助成金の多くは一定の条件を満たせば受け取れるケースが多いのに対し、補助金には審査があり、落ちれば補助を受けることはできません。
また、助成金は複数の制度を同時利用できることが多いのに対し、補助金は並行利用を認められないケースが多いようです。助成金に比べ難易度が高い補助金ですが、支援を受けられる金額は助成金よりも高めです。
オフィス改装時に申請できる補助金の例
オフィス移転や改装時に利用を検討できる補助金制度のうち、3つの例をご紹介します。

小規模事業者持続化補助金
販路拡大や業務効率化を目的とした取り組みが対象ですが、オフィスの改装も「業務効率化」や「集客のための環境改善」として対象になるケースが多いようです(例:作業効率を上げるレイアウト変更、バリアフリー改装、来客用スペースの設置など)。
小規模事業者持続化補助金を申請する場合には、商工会議所等の支援を受ける必要があります。
• 申請スケジュール:2025年度も複数回の公募が予定される見込み。詳細は全国商工会連合会・日本商工会議所の公式サイトで随時発表。例年は年4〜5回の公募があります。
・補助額:補助率は2/3、通常枠で上限50万円ですが、インボイス枠・成長枠などの特別枠では上限100万円〜200万円に拡大します。
新事業進出補助金
事業再構築補助金が制度変更して誕生した、新市場・新分野への進出を支援する大型の補助金です。店舗・オフィスの移転・改装も、「新事業展開」や「業種転換」の一環であれば対象になる可能性があります(たとえば、新たなサービス提供に向けた施設改装や、機能拡張のためのオフィス増床など)。
・申請スケジュール:第一回公募は2025年7月10日まで。中小企業庁の公式情報にて随時公募回が発表されます。
・中小企業で最大7,000万円(補助率1/2)。従業員数に応じて上限が変動。最低でも1500万円以上の事業規模が必要となります。
事業承継補助金
事業承継・M&A補助金は、事業承継に伴う新たな事業の設備投資・販路開拓などを支援することを目的とした補助金です。
オフィス改装が新規事業にどう寄与するのかを証明する必要がありますが、事業を引き継いだあと、改装や新たなオフィスレイアウト構築や、M&A後のリブランド対応なども補助対象となる可能性があります。
• 申請スケジュール:年1〜2回程度公募(2025年も継続予定)。2024年度は5月と10月頃に公募。事業引継ぎ支援センターなどを通じて相談が可能。
・補助額:補助率は2/3、補助上限は600万円。専門家活用型では250万円まで。
オフィス改装時に申請できる助成金の例
次に助成金について、利用できる制度を1つ紹介します。
受動喫煙防止対策助成金
オフィス改装時に社内禁煙を促す対策を計画することで、補助金を受けられます。対策例としては、分煙や完全禁煙オフィスにするなどが考えられます。
補助金・助成金をうまく活用したオフィス改装を
上記で挙げたのはほんの一例に過ぎません。これら以外にも、期間限定のものや各自治体が独自に行っている補助金・助成金制度もさまざまありますので、ぜひ調べてみることをおすすめします。そして、実際に申請を検討するときには、補助金・助成金に詳しい専門家に相談すると良いと思います。
オフィス改装・移転の初期段階からご相談に乗ることで、より貴社にマッチした専門家をご提案、ご紹介することができます。まずはお気軽にお問い合わせください。
