近年、テレワークやハイブリッドワークが普及し、企業は多様な働き方への対応が求められています。特に、従業員のワークライフバランスを尊重し、時短勤務や柔軟な働き方を導入する企業も増加しています。これらの取り組みを支援するために、政府や自治体はさまざまな補助金・助成金制度を提供しています。
本記事では、最新の補助金・助成金情報を紹介し、柔軟な働き方の導入支援につながる情報を提供します。

1.テレワーク導入に活用できる補助金・助成金
(1)働き方改革推進支援助成金【2025年度】
対象企業: 中小企業
補助対象: テレワークの導入・定着を支援(機器導入・システム構築費用など)
補助金額: 最大200万円(補助率3/4)
ポイント: 人材確保・定着率向上を目的とした導入が重要
(2)確保等支援助成金(テレワークコース)【2025年度】
対象企業: 中小企業
補助対象:
【導入助成】 テレワークの制度導入または実施拡大・定着を支援(機器導入・コンサルティング・研修・システム構築費用など)
【目標達成助成】テレワーク導入後、一定の要件を満たした場合、1企業あたり10万円(賃金要件を満たす場合は15万円)を追加支給。
補助金額: 最大30万円
ポイント: 事前にテレワーク実施計画を提出し認定を受けることが不要になりました
(3)両立支援等助成金【柔軟な働き方選択制度等支援コース】
対象企業: 中小企業
補助対象: 柔軟な働き方選択制度等の導入:
以下の制度から2つ以上を新たに導入する必要があります。
・フレックスタイム制度: 労働者が始業・終業時刻や労働時間を自ら決定できる制度。
・時差出勤制度: 始業・終業時刻を1時間以上繰り上げ・繰り下げできる制度。
・育児のためのテレワーク等: 育児を目的とした在宅勤務やサテライトオフィス勤務を可能とする制度。
・短時間勤務制度: 1日1時間以上、所定労働時間を短縮できる制度。
・保育サービスの手配・費用補助制度: 一時的な保育サービスの手配や、その費用の全部または一部を補助する制度。
・子の養育を容易にするための休暇制度: 有給で年10日以上、時間単位で取得可能な休暇制度。
・法を上回る子の看護休暇制度: 法律で定められた子の看護休暇を上回る内容の制度。
補助金額: 1年度最大 125万
※1事業主あたり、1年度に5人まで申請可能
制度を2つ導入し、対象者が制度を利用した場合: 20万円
制度を3つ以上導入し、対象者が制度を利用した場合: 25万円
ポイント: 導入した制度は労働協約または就業規則に明文化し、労働者に周知。また、他の助成金との併用ができないケースがあるので注意が必要。
※2025年10月の育児介護休業法の改正により、両立支援の取り組みが企業の義務化に。法を上回る積極策を取る場合は、助成金活用がおすすめ。
(4)地方自治体のテレワーク助成金【令和7年度 東京都テレワークトータルサポート助成金】
申請受付期間:2025年6月10日(火)〜 2026年2月27日(金)まで
助成事業:テレワーク環境の整備
助成対象経費:在宅勤務、モバイル勤務等を可能とする情報通信機器等の導入によるテレワーク環境構築に係る経費
助成額:
常用労働者数(2〜29人)上限150万円(助成率:2/3)
常用労働者数(30〜999人)上限250万円(助成率:1/2)
【加算項目あり】
①育児・介護コース
助成対象経費:3歳未満の子の養育または介護期従業員を対象としたテレワークに関する規定の整備に係る経費
助成額:定額 20万円
②職場環境改善コース
助成対象経費:テレワークが困難な業務従事者の熱中症対策として、体温を下げるための機能のある作業服や熱中症のリスクを回避する機能のある製品等の整備に係る経費
助成額:最大 50万円(助成率10/10)1人1万円が上限

2.時短勤務制度の導入を支援する補助金・助成金
(1)両立支援等助成金【柔軟な働き方選択制度等支援コース】
対象企業: 中小企業 事業主単位
補助対象: 育児を理由とした時短勤務制度の導入実施
補助金額: 1企業あたり最大125万円(他の取り組み含め3つの取り組みを実施したら、25万/人、1年度最大5名まで申請可能)
ポイント:男性女性問わず、育児と仕事の両立のための柔軟な働き方の支援が可能
(2)両立支援等助成金【介護離職防止支援コース】
対象企業: 中小企業 事業主単位
補助対象: 仕事と介護を両立可能な雇用環境整備、介護支援プランに基づいた制度利用者が出た場合、介護休業取得者が復帰した場合、業務代替者の雇用、代替者への手当支給
補助金額: 1企業あたり最大300万円(環境整備加算 +10万円)
ポイント: 社員のライフステージに合わせた柔軟な働き方の支援が可能
(3)くるみん認定企業向け助成金【2027年3月まで】
対象企業: くるみん認定(※)を受けた労働者が300名以下の中小企業
補助対象: 労働者の子育て支援に関する取り組みに要する費用。
補助金額: 最大50万円
ポイント: くるみん認定は計画目標の達成が必要なので、最短で2年程度かかります。税額控除や、公共調達時の加点、補助金申請時の加点などメリットは多数あります。
(※)くるみん認定とは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって認定(くるみん認定)を受けることができます。

3.ハイブリッドワーク推進に関する補助金・助成金
(1)働き方改革推進助成金(勤務間インターバル導入コース)【2025年】
対象企業: 中小企業
補助対象: 柔軟な働き方の導入(勤務間インターバル制度(※)の導入など)
補助金額: 最大120万円(助成率 3/4)+賃金引き上げ目標 上限720万
ポイント: 従業員の健康管理と生産性向上に貢献
(※)終業時刻から、次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を確保する制度。この制度は、労働者の健康維持や過重労働の防止、生活時間の確保を目的として、2019年4月から事業主の努力義務となっているものです。
2025年新設 「勤務間インターバル制度定着促進コース」 制度導入済企業の制度改善、研修等(上限50万円)

4.補助金・助成金の申請ポイント
要件を事前確認: 各補助金・助成金には細かな要件があるため、公式サイトをチェック。申請前に行っておかなければいけないこと、取り組み順序など特に注意。
申請期間を把握: 期限内に必要書類を準備し、余裕をもって申請。
専門家の活用: 支給条件の確認や必要な書類の準備など、専門的な知識が求められますので、社労士や補助金コンサルタントに相談するとスムーズ。
まとめ
採用難、人材不足の現在、テレワーク、ハイブリッドワーク、時短勤務の導入は、企業の成長と従業員の働きやすさを両立させる重要な施策です。2025年の育児介護休業法の改正では、企業が働きやすい環境を整えることが義務に。活用できる補助金・助成金を把握し、適切に申請することで、コスト負担を軽減しながら最適な職場環境を整えることができます。最新情報をチェックし、積極的に活用しましょう!
(協力:社会保険労務士法人FORROU 小笠原 梓)
良いオフィス環境を整えるためには、制度としての働き方改革の推進と併せて、新しい働き方に相応しいレイアウトや設備などオフィス環境の整備も欠かせません。オフィス改装に関わる補助金や助成金もありますので、検討してみてください(「知らなきゃ損。オフィス改装時にも使える補助金・助成金(2024年更新)」をご参照)。
オフィスバコでは、オフィス改装や働き方改革に伴う補助金・助成金の相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
