ノウハウ

オフィスデザインのプロが考える理想のワーク環境 ~休憩スペース編~

新型コロナによって生活様式が変わり、それにともなって私たちの職場環境も見直されてきています。時代や情勢に合わせ、様々な働き方に対応できるよう柔軟に考える企業が増えてきているようです。職場環境と一口に言っても多岐に渡りますが、中でも今、注目が集まっているのが休憩スペースの在り方。今回はオフィスや工場における休憩スペースの重要性についてお伝えしていきます。

発想の転換!休憩スペースこそ充実させよう

集まって仕事をすることが当たり前ではなくなって早数年。出社しなくても仕事ができるよう在宅ワークの環境を整えた会社が増えたのはご承知のとおりです。そんな中、オフィスバコへの相談で、にわかに増えてきているのが出社する社員が減ったことで“使用頻度が極端に減ってしまった部屋やスペース”の使い道です。お話を伺っていると「今は使っていない。あるいは物置になってしまっている…」といった声も多く、「もったいないことは分かっているが、どうしたらよいか分からない」と担当者の頭を悩ませているようです。そこでオフィスバコがすすめているのが

『思い切った発想の転換』

「余った部屋とはいえ、オフィス空間なんだから仕事で使わなくては…」という固定観念から一旦離れて、逆に「仕事をしないリフレッシュ空間として使ってみては︖」という考え方を提案しています。職場環境の改善というと、仕事に直結する部分にばかり目がいきがちですが、休憩スペースも大切な労働環境のひとつです。そもそも、企業のオフィスは事務所衛生基準規則により、休憩スペースの設置努力が求められています。

参考:安全衛生情報センター 事務所衛生基準規則 第4章 休養(第19条-第22条)

「休憩室、あるにはあるけど、ちゃんと機能しているかどうか…」と頭によぎったなら、ぜひこの機会に休憩スペースの在り方や改善について検討してみてください。

改善は規模や予算に合わせて柔軟に

オフィスと言っても社員数名の小さなオフィスから数百名の大きなオフィスまで規模はさまざま。抱えている問題や悩みもそれぞれ異なり、改善に掛けられる予算も会社によって変わってくるでしょう。多くの会社は「全面的な改装をしたいけれど予算的にちょっと難しい…」と思っているかもしれません。

でもそこは工夫しだい。

それぞれの状況に合った無理のない改善をすればいいのです。例えば、前述のように余ってしまったスペースの使い道で悩んでいる場合は、ぜひ休憩スペースとして使うことを検討してみてください。そこがとても快適でリフレッシュできる空間に生まれ変わったなら、きっと社員のモチベーションも上がるでしょう。広さにもよりますが、改善の工夫として比較的手軽にできるのは壁紙や床材の交換。デザイン性の高い壁紙や床材にしてみるだけでも、印象がガラリと変わり、視覚的なリラックス効果も期待できます。邪魔にならない程度にテーブルや椅子などを置いてみるのもおすすめです。また「休憩室はあるけど無機質で狭く、おまけに寒々しいから何とかしたい」という工場勤務の方からの相談も多いのですが、同様の提案をしています。そういったわずかなスペースであっても、少し手を加えるだけで効果を感じることができますので、やってみる価値は十分にあります。

休憩スペースをつくる際のアイデアやコツ

新たに休憩スペースを設けるなら、できるだけ業務スペースから離れた場所につくり、テーブルや椅子、ソファなどを置く場合は窮屈にならないようにするのがコツ。予算に余裕があって思い切った改善を考えているなら、靴を脱いでゆったりくつろげるようなスペースにするのも良いかも知れません。大きな改善は難しい…という場合は、インテリアだけでも変えてみてはいかがでしょうか。照明器具の交換、観葉植物の設置、コーヒーブレイクができるカウンターの造作など…。それほど費用をかけなくてもできることはたくさんあります。

得られるベネフィットは補って余りある

リラックスできる休憩スペースは言わば仕事や業務とは対極にあるものなので、広さにあまり余裕がない会社の場合は、積極的につくろうという発想にはなかなかならないと思います。ですが考えようによっては業務スペースを割いてでもつくるべきかもしれません。例えば、職務上、集中している時間が長い社員にとっては集中力を持続するために息抜きの場が必要だからです。とくに細かい作業が多い工場の従業員であれば定期的に休憩することはとても大切。ストレスを抜くことで思わぬ事故やケガを防ぐことができます。また、休憩スペースが様々な部署の社員たちの交流の場になるならちょっとした会話から良いアイデアが浮かんだりすることもあるでしょう。互いに刺激し合える空間は会社全体の活性化にもつながります。その結果、組織力や団結力などが高まれば、業務スペースを割いてでもつくった甲斐があるというもの。得られるベネフィットは会社にとって、補ってなお、余りあるに違いありません。

ここからは、休憩スペースを充実させて、組織力アップや社内の活性化に成功した株式会社河合電器製作所様の事例をご紹介します。

株式会社河合電器製作所様の改善例

小グループで話せるちょっとした休憩スペース

ガラス張りのボックス空間がいい具合に目隠しとなり、少し奥まった隠れ家的な雰囲気に。こういったレイアウトの工夫が居心地のよさを生み出すのです。休憩時の雑談はもちろん、ソロワークで集中したいときなど様々なシーンで活躍する空間となっています。

インダストリアルな雰囲気がただようカフェスペース

ミニキッチンがあって使い勝手がよく、冷蔵庫や電子レンジのほかウォーターサーバーなども備えてあります。バーのような雰囲気を醸すL字型のカウンターもおしゃれ。一息つきたいときやランチなどにぴったりのつくりとなっています。窓が大きく採光性や開放感も十分。人が自然と集まり、コミュニケーションの活性化につながりそうです。

窓辺に設けたカウンタースペース

何も置かなければただの窓辺。でもそこにカウンター風の長机と椅子を置くだけで、開放感ばつぐんのコミュニケーションスペースに。外の風景を眺めることで自然とリラックスできるので、いいアイデアに浮かばないときの気分転換などにもぴったりです。偶然いっしょになった他部署の人とも気軽にコミュニケーションがとれそう。

デザインが工夫されたライブラリースペース

広めのベンチ部分はカーブがつけられており、柔らかな雰囲気が漂います。靴を脱いでリラックスできるようになっているのがポイントで、足がつく部分は外の芝生を感じさせてくれます。ブレストなどで多種多様な意見を出したいときにぴったりのスペース。画期的なアイデアはこういったリラックス空間から生まれるのでしょう。

職場が居心地の良い空間であるために

いかがでしたか︖オフィスや工場において休憩スペースがいかに重要な役割を果たしているかお分かりいただけたかと思います。一日の大半を過ごす職場環境は、誰もが快適で居心地の良い空間であってほしいと望んでいるはず。今回の記事が休憩スペースの在り方や改善について考えてみる良いきっかけになれば幸いです。

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