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ここ数年、オフィスにデザイン壁紙を取り入れる企業が増えています。
壁はオフィスの中でも大きな面積を占めるため大きく印象を変えられますし、グリーンなどの設置物と違って場所を取らないのでオフィスを圧迫する事もありません。以前に比べてデザイン性の高い壁紙を扱う企業が増え、複雑かつ繊細なデザインを再現できるようになったことも人気が高まっている理由のひとつです。
今回は数多くのオフィス、商業・公共施設などにも取り入れられている「WhO」の近藤さん、河原木さんに、なんと2600種以上もの壁紙から、各エリア・求める効果に合わせたお勧めの壁紙をセレクトしていただきました。
【会議室 / 打ち合わせスペース】
人が多く集まり意見を交わす会議室。集中しやすい環境やコミュニケーションの促進を求められることの多い場所です。会議室の部屋数が多い企業であれば、部屋ごとのイメージや特色を際立たせることでブランディングにも繋がるのではないでしょうか。
◆集中に特化した部屋をつくるなら
アーティスト松延総司さんによる筆跡が無限に続いていくパターン。近くでみると緻密なドローイングですが、俯瞰して見ると、モチーフを一切感じさせないシンプルなデザインで、目の前のものに集中できるミニマルさもポイントです。
パリのステーショナリーブランド「PAPIER TIGRE」から、商品名の通り宇宙を感じるデザインです。静寂に包まれた宇宙空間に身を投じるような気分で、感覚を研ぎ澄ませる効果も?
◆コミュニケーションを促進させたいなら
「PLAY」をテーマにした遊び心溢れるパターンで、自然と会話のネタにもなりそうなモチーフが並びます。閃きや心の声など、メッセージボードとしても使えそうですが、ビデオ会議の背景としても活用できそうです。
◆部屋(会議室、ブース)ごとの特徴を出したいなら
新しさを意識しつつ使いやすさも重視した、空間デザイナー目線のシリーズ「PATTERNS」。シンプルなリピート柄でありながら個性豊かなラインナップが特徴で、カラーバリエーションも豊富です。各部屋のテーマに合わせたデザインがきっとみつかるはず。また、拡大・縮小など壁面に合わせたサイズ調整やカラーカスタマイズも可能なので、空間づくりにこだわる方にもおすすめです。
【執務スペース】
◆とにかく集中したいなら
アメリカ・ダラスを拠点に展開する壁紙ブランド「look. Walls & Interiors」を扱うシリーズ。アーティスティックな表現でとても人気が高いラインのひとつです。地平線を臨む海が凪いでいるような表現と、心を落ち着かせる色でもあるブルーが、一層集中力を促してくれそうです。
書物に囲まれたスペースでは、自然と目の前の物事に取り組めるもの。本棚を用いたデザインは他にもいくつかありますが、比較的シンプルで落ち着いたトーンのこちらはいかがでしょうか。
◆一体感を醸成するなら
誰もが知る日本一高い山、富士山。みんなで一体感をもってその頂上を目指していくようなイメージで、こちらの壁紙はいかがでしょうか? 日本を象徴するモチーフかつ、幻想的な色使いとグラフィカルな表現は、他にないデザインです。
◆気持ちが明るくなる空間にしたいなら
山や草木、花といった自然をモチーフにしたデザインは、以前から空間によく取り入れられる人気の高いモチーフです。草花などのボタニカルなデザインは癒しも与えてくれそう。ここでは、クリエイターが参加する「CREATORS」シリーズから2点ご紹介します。
アーティストひがしちかさんによる植物を散りばめたパターン柄です。手書きの風合いも柔らかく、心も落ち着くデザインです。
テキスタイルデザイナーの氷室友里さんがデザインした観葉植物の柄は、コロナ禍で在宅時間が増えたことをきっかけに、幼少期に思い描いていた観葉植物に囲まれた部屋を思い出し、制作したものだそう。クロスを貼るだけで空気感を変えてくれる、デザインの力があるテキスタイルです。
【エントランス】
◆ブランディングを重視したいなら
PANTONE(Uncoated)、DIC、日塗工の色番号を指定して、お好きな色で単色無地のクロスを制作できます。コーポレートカラーや空間のテーマカラーに合わせて、自由な空間表現が可能です。
【休憩スペース / 食堂】
◆休憩中とにかくリラックスしたいなら
「MOVING WATER」をテーマにしたラインナップから、滝をイメージしたパターンです。水が流れ落ち、しぶきを上げる様子をグラデーションと点描を用いて表現した、空間にも取り入れやすいデザインです。
こちらも自然を想起させるようなデザイン。山並みを臨む朝焼けのようなランドスケープを、柔らかな色の移り変わりで表現しています。
◆コミュニケーションを促進させたいなら
色彩豊かな表現は空間を華やかに演出するだけでなく、前向きな気持ちにもしてくれます。きっと会話も弾んで、コミュニケーションも促進されることでしょう。フランスの壁紙ブランドを扱うシリーズ、「La Touche Originale(ラ トゥシュ オリジナル)」では、世界各国のアーティストが手掛ける独創的で多様なクリエイティブが集まります。
まとめ
無難なものが選ばれがちなオフィスの壁紙ですが、効果や目的に合わせてセレクトすることで、さまざまな効果を得られます。また、フルリノベーションに比べると工事期間、コスト面ともに抑えることができるため、「フルリノベーションを行う程の費用は難しいけど大きくイメージを変えたい」「長く工事期間を設けることが難しい」などの悩みを抱えた方にも、壁紙リノベーションは特におすすめです。
取材・文/松永麗美
取材協力:WhO