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長く続いたコロナ禍もやっと収束の兆しが見え始め、以前よりオフィスへの出社が増えた方も多いのではないでしょうか。ふたたび社員の集まる機会が増加した今、オフィスに出社するメリットをより強めたい企業や、社員同士のコミュニケーションを向上させたい企業から注目を集めているのが『壁面ホワイトボード』です。
コミュニケーション促進ツールを導入してもなかなか社員が使いこなせていないという企業も多いようですが、誰しも使ったことがあるホワイトボードは、活用してもらうための複雑な仕掛けも不要。アナログで、誰でも使えて、個性も伝わるので、社内コミュニケーションが自然と促進されます。
ホワイトボードと聞いて多くの方が連想するのは、キャスターが付いた大型のものかもしれませんね。しかし、最新のオフィスで取り入れられているのはそんなイメージを根底から覆す、新しい形のものばかり。
今回は数あるホワイトボードの中でも特に人気を集めている超薄型壁面ホワイトボード『SMW(スリムマグネットホワイトボード)』を手がける日学株式会社さんに、詳しくお話を聞かせていただきました。
各企業への導入事例などをふまえながら、ホワイトボードが作り出す新たなオフィス空間をご紹介します。
場所、シーンに合わせて使い方はさまざま! 空間の可能性を広げる壁面ホワイトボード
メリット(1):オフィスの省スペース化
壁面ホワイトボードを取り入れるメリットとしてまず挙げられるのは、オフィスの省スペース化です。オフィスのダウンサイジングを進める企業も増えている中、壁面の有効活用はオフィス作りにおいて重要。
従来のキャスター付きホワイトボードのデメリットとして、「使っていない時の置き場に困る」「オフィス内の場所を取りすぎる」などの声をよく耳にしましたが、壁の一部をホワイトボードにしてしまえば、限られたスペースを有効に活用できます。
壁一面だけでなく、柱面などの限られたスペースや、壁4面すべてへの施工も可能なのがSMWの大きな特徴。
特殊な壁材には「壁面の中でもある程度大きなスペースにしか施工できない」など設置場所を選ぶものも多いのですが、SMWは柱などの小さなスペースへの施工も適うため、導入すればデッドスペースが貴重なコミュニケーションの場に変身します。
最近多いのが、元書庫スペースだった場所へのSMW導入。ペーパーレス化に伴い、オフィスから壁面収納キャビネットが次々と姿を消しています。書庫を取り去ったあとに残された日焼け跡が生々しい白い壁面を、新たなコミュニケーションスペースとして生まれ変わらせるオフィスリノベーションが増えているのだそうです。
日焼け跡など隠したい部分のインテリアを整えつつ、利用しなくなった場所に新たな価値を与えられるのは、大きなメリットですね。
また、壁に取り入れるとなると気になるのが、ホワイトボードの4辺に必ず付いている金属製のフレームではないでしょうか。
SMWも基本的には天井面に接する形でフレームが付きますが、入隅となる2面以上に施工を行う場合は、縦のフレームが入りません。つまり壁と壁との接地部分でフレームがぶつかることなく、通常の壁紙を使用した時と同じような、自然な仕上がりにできるというわけです。
これにより、使用しない時には存在感を消してシンプルかつ目にも優しいホワイトの壁として、会議などの際にはコミュニケーションツールとして使用するといったように、同じ空間を用途に応じて使い分けることが可能です。
◇省スペース化を目指すオフィスにおすすめ
超薄型壁面舗ホワイトボード(SMW)スリムマグネットホワイトボード
SMWは小さなスペースに取り付けられるだけでなく、高さ3000mmまでの間であれば梁やスイッチを避けて壁一面に設置することもできるのだそう。
設置を希望するスペースに合わせてオーダーメイドでの施工ができるので、「上下は通常の壁にして、手の届く範囲のみ横いっぱいにホワイトボード」など、希望に合わせて取り付けられます。
また、壁面をホワイトボードにした時に気になるもうひとつのポイントが、「消し残り」です。
長く記入したままのホワイトボードを消した際、書いてあったものの跡が残ってしまったり、全体がなんとなく薄汚れてきてしまったりといったこともありますよね。
こちらについて伺ってみたところ、「表面材に使用しているアルミホーロー鋼板は、他メーカーのホーロー鋼板に比べ表面の平滑性が高いことに加え、ガラス皮膜表面の適度なザラツキにより抜群の書き味と消去性を実現しておりますので、板面由来の消去不良は起こりにくいと考えられます」との回答をいただきました!
汚れ対策としては定期的な水拭きと乾拭きが有効で、着色残りがひどい場合にはエタノールで清掃すれば簡単に新品状態にすることが可能だそうです。少しの手間で綺麗な状態を保てるのは嬉しいですね。
メリット(2):会議室、執務スペースに!スクリーン無しでのプロジェクター利用が可能
ホワイトボードがいちばん活躍する場所といえばやはり会議室。
浮かんだアイデアや現状を可視化しやすいだけでなく、絵や図を描きながら意見交換を行うことで、より想いが伝わるコミュニケーションを実現します。マグネットも貼り付けられるので、意見やアイデアを付箋などに書いて、一面に貼ってみるのも良いですね。
執務スペースで使う場合、社員のスケジュールを掲示するなどの基本的な使い方のほか、社員間や来客向けにメッセージを書いたり、イベント時の飾りつけに使ったりと、ビジネス面以外でも社員同士のコミュニケーションの促進や来客との距離を縮めるのに良い影響を与えられそうです。
また、プロジェクター対応のホワイトボードを採用すれば、スクリーンを設置することなくすぐに映像を見ることができます。なかでも驚かされたのが映写兼用SMWである、『スクリーン兼用ホワイトボード』。
部屋内の4面すべてにスクリーン兼用ホワイトボードを設置し、天吊りプロジェクターを4台設置することで、なんとゴーグル無しでのVR体験が実現可能なのだそう!
業務だけでなく、社内レクリエーションなどでの活用もできますし、社員のモチベーションの向上や組織力の強化にも繋がりそうです。
◇プロジェクター使用のオフィスにおすすめ
スクリーン兼用ホワイトボード
通常のホワイトボードよりも、光の反射によるハレーションを抑えられるレベルまで光沢を落としたのが、こちらのスクリーン兼用ホワイトボード。通常のものよりも光の映り込みを抑えることで、映像をより綺麗に映せるようになりました。
デメリットがあるとすれば、通常のホワイトボードよりも若干書き心地にざらつきがあるところくらいでしょうか。プロジェクターの使用頻度や部屋ごとの目的に合わせて取り入れる商品を検討すると良いかもしれません。
もはや「ホワイト」だけじゃない⁉️ オフィスの利便性をアップしてくれるさまざまな「ボード」
日学にはホワイトボード以外にも、便利な壁面材がたくさん取り揃えられていました。
以下では、その中でも特にオフィスにおすすめしたい便利な製品をご紹介します。
◇ホワイトボードよりも温かみを重視したいオフィスにおすすめ
柄目調ホワイトボード
「ホワイトボードは真っ白で冷たい印象」、「壁紙を使った部屋のように温かみも演出したい」といった企業様におすすめなのが『柄目調ホワイトボード』。
木目調や石目調など、壁紙をチョイスするのと同じように、好みに合わせて柄を選べます。しかもあくまでホワイトボードなので、マーカーでの書き消しやマグネットの貼り付けなどの機能はそのままという良いとこどり。
普段は応接室として使用しつつ、会議や打ち合わせが重複した場合には臨時会議室として使うなど、デザインと機能性を兼ね備えたハイブリッドスペースとしての空間に取り入れてみてはいかがでしょうか。
◇飲食店や小さなお子様が利用する施設におすすめチョークボード
実は2015年から「日学・黒板アート甲子園」を主催している日学株式会社。ですので、チョークボードの施工ももちろん可能です。
チョークは貝殻などからできているため万が一口に入ってしまっても害が無く、さらに他の場所に描いてしまってもホワイトボードマーカーよりも消えやすいなどのメリットがあります。
そのため、チョークボードを取り入れている企業には幼稚園・保育園などの小さなお子様が利用する施設や、飲食店などが多いのだそう。飲食店のメニューボードとしてチョークボードを取り入れても素敵ですね。
ホワイトボード・黒板を施工する際の注意点とは
さまざまなメリットのあるホワイトボードですが、オフィスに取り入れる際に何よりも大切なのが「施工」。
ホワイトボードの表面材であるホーロー鋼板の薄さはなんとたったの0.4mm。扱いに慣れた作業員でないと施工時すぐに折れや曲がりが発生してしまうので、日学では施工までのすべてを自社で請け負っているのだそうです。
他にも下地を処理することによる平滑化や、突合せ部分の温度変化による浮き上がり防止処理など、独自のノウハウにより安全で使いやすい仕上がりを実現しているとのことでした。
しかし、建物によってはホワイトボードの設置が難しい建物もありますよね。
ホワイトボードの取り付けができない壁面にはどのようなものがあるのか伺ってみたところ、
・ガラス面
・凹凸面
・曲面
・コンクリート壁(別途下地処理が必要)
などが、取り付けの難しい場所として挙げられました。
それ以外であれば大体の場所に取り付けが可能なようですので、自社オフィスに取り入れられるか気になった場合は、事前に施工可能かを問い合わせてみるのが良いかもしれません。
ちなみに地下や高層ビル内のオフィスなどでは、防火の観点から特殊な壁材の使用が難しい場合が多かったのですが、日学では不燃認定が取れた不燃SMWも取り扱っています。
不燃適応の下地やマグネットシートを使用するため、通常のSMWよりもコスト面で割高となってしまいますが、国土交通大臣・建築基準法施行令の技術的基準に認定されている高い防火性能を担保したうえで壁面ホワイトボードを取り入れられるのは、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
まとめ
これまでオフィスの壁面活用と言えば、壁紙を変えたり、装飾を施したり、壁面収納を取り付けたりといった形に留まっていました。しかし壁面をホワイトボードにすることで、社員が手軽に壁面に意味を持たせることができるようになり、コミュニケーションの活性化などを通じて、これまで以上にオフィスに来る意味を感じることができます。
移動式のものを取り入れているオフィスも多く、どこの企業でもよく目にするオフィス什器であるホワイトボード。
しかし、取り入れる方法を変えるだけでプラスアルファの機能を備えることができ、オフィスの使い方を変える大きなきっかけとなり得るツールと言えるのではないでしょうか。
取り入れ方のアイデア次第で、さらに可能性が広がりそうですね。
取材協力:日学株式会社
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