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コロナ禍をきっかけとして、多くの企業がリモートワークを導入し、柔軟な働き方が浸透してきました。コロナ禍の落ち着きとともにオフィス回帰の動きが見られますが(注)、一方で、リモートワーク中心の働き方を続ける企業もあるようです。
(注)国土交通省の調査によると、令和5年度の「直近一年間のテレワーク実施率」は全国平均で16.1%と前年度の18.6%から低下。全国どの地域でも減少傾向ながら、地域によって実施率にはばらつきがあり、首都圏では28.0%と比較的高い実施率を維持しています。
オフィス回帰には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。そのため、出社型のオフィスワークと、自宅やシェアオフィスなどオフィス外で働くテレワークを組み合わせた働き方「ハイブリッドワーク」を導入する企業も増えているようです。
本記事では、オフィス回帰の利点と課題、さらにオフィス回帰を選択した場合に従業員が気持ちよく働けるような「来たくなるオフィス」について考察します。
オフィス回帰のメリット
業務のスイッチが入る
自宅やカフェでは、自ら意識しないと、仕事とプライベートの区別がつけにくいこともありますが、オフィスへ出社すると、自然と意識が仕事に集中します。
コミュニケーションの活性化
オフィスに戻る最大のメリットは、直接的なコミュニケーションの活性化です。リモートでは難しかった即時のフィードバックや、非言語的なコミュニケーションも容易になります。対面での打ち合わせや雑談を通じて、チームメンバー間の絆が深まり、業務の進行がスムーズになります。
イノベーションの促進
オフィス環境では、異なる部門から多種多様な専門分野の人々が自然に交流する機会が増えます。そうした出会いや気づきから、新しいアイデアや解決策がうまれやすく、イノベーションが促進されます。偶然の出会いや意見交換が、企業の成長につながるアイデアの種となる可能性があります。
企業文化の強化
オフィスに集まることで、企業の文化や価値観が共有されやすくなります。オフィスは、企業のビジョンやミッションを具現化する場であり、社員がその一員であることを感じられる空間です。これにより、組織としての一体感が強化され、社員のエンゲージメントが向上します。
オフィス回帰のデメリット
柔軟性の低下
オフィス回帰に伴い、リモートワークで享受していた柔軟な働き方が制限される可能性があります。また、通勤時間の増加や、満員電車での勤務が余計なストレスとなり、生産性ややる気の低下を招く恐れがあります。
集中力の低下
人によっては、オフィスの雑音などが気になって集中できず、業務効率が下がると感じる場合もあるようです。
心理的負担
一度リモートワークの柔軟な働き方に慣れてしまうと、オフィスに出社することが負担に感じられるかもしれません。オフィス出社に伴う時間的・肉体的負担に見合った価値が感じられないと、従業員のストレスにつながる可能性があります。
働き方の多様化と来たくなるオフィス
働き方の多様化への対応
働き方は多様化しており、リモートワーク、ハイブリッドワーク、フレックスタイム制など、個々の状況に合った働き方を選べる余地も必要でしょう。オフィス回帰に舵を切る場合でも、画一的に元に戻すのではなく、働き方の多様性を認めた上で、多様な働き方をサポートする柔軟な制度を検討することでバランスをとる企業もあるようです。
来たくなるオフィスの実現
事業内容によっては、オフィスで働くことのメリットが大きいことも事実です。オフィス回帰を意味のあるものにするためには、社員が「来たくなる」オフィスを作ることが求められます。
来たくなるオフィスには、以下のような要素が考えられます。
〈快適な作業環境〉
仕事を効率的、かつ、心地よく進められる場所や設備はオフィスだからこそ準備できるものかもしれません。作業しやすいサイズの机、長時間座っていても疲れない椅子、打ち合わせを効率的・創造的に進められる最新の設備など。仕事を進めるための環境が自宅より優れていることで、従業員は出社の意味を感じるでしょう。
〈健康への配慮〉
リラックスできるスペース、自然光やグリーンの導入など、快適なオフィス空間が提供されることも重要な要素でしょう。
〈コミュニティスペース〉
社員同士の交流を促進するカフェスペースやラウンジなど、自由に意見交換やリラックスできる場所が設けられていることで、自宅作業では得られない出会いや気づきがあります。そして、そこから生まれるアイデアから、会社の発展につながるのみならず、従業員も成長を感じることができます。コラボレーションがうまれやすいオープンスペースや、クリエイティブな発想を促すデザインなど、工夫を凝らしたオフィスづくりも行われています。
〈仕掛け〉
場所を作るだけでなく、そこが使われ、コミュニケーションが発生するような仕掛けを導入することで、従業員のみならずステークホルダーとの間にも自然と交流がうまれます。
まとめ
オフィス回帰には、コミュニケーションの活性化や企業文化の強化といった多くのメリットがありますが、柔軟性の低下や従業員の心理的負担などのデメリットも存在します。「来たくなるオフィス」に近づけることで、オフィスで働くメリットをより活かすことができそうです。
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